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宮脇賣扇庵「扇子」〜一振りの風に、雅が舞う。
京都・三条通に軒を構えて百八十余年。宮脇賣扇庵(みやわきばいせんあん)は、扇子の老舗でありながら、単なる伝統工芸ではない。「扇ぐ」という行為そのものに、時代の美意識を映してきたブランドである。
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風を、かたちにする。
宮脇賣扇庵の扇子は、ただの涼をとる道具ではない。ひと扇ぐたびに生まれる風の質感、紙の香り、竹のしなり。そのすべてが「日常における小さな芸術」として設計されている。絵柄は四季を映す花鳥風月。紙は西陣の職人が漉き、骨には厳選された国産竹。開いた瞬間、音がして、空気が変わる。その一瞬に宿るのは、日本人が古くから大切にしてきた“間”と“余白”の文化だ。
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扇で風を売る、という発想。
宮脇賣扇庵の歴史は、江戸時代の終わり、弘化年間(1844年頃)にまでさかのぼる。初代・宮脇儀兵衛が京都・三条で「扇を商う」ことから始まった。当時、扇は貴族や舞妓の装飾具、または格式ある贈答品として扱われており、一般庶民には高嶺の花だった。しかし儀兵衛は、扇子を“文化の風”として誰もが持てるものにしたいと考えた。紙の軽やかさと竹の強さを兼ね備え、手仕事で一枚ずつ仕立てる。工芸というより「日用品の美」としての扇づくりを志した。明治維新を迎えると、京都は職人たちの町として再び息を吹き返す。新政府の要人たちは洋装を身にまといながらも、懐には小さな扇を忍ばせた。扇は日本人の“品”を示す象徴だった。二代目・宮脇清次郎はその流れを読み取り、舞扇・茶扇・飾扇など、用途ごとに異なる設計を試みる。さらに扇面に浮世絵師の絵を取り入れ、絵画と工芸を融合させた。これが「京扇子」の始まりである。大正期には、芸妓や舞妓たちが舞台で使う舞扇を宮脇が手掛けるようになり、「宮脇の扇」と言えば京都で知らぬ者がいないほどになった。昭和に入り、戦火が町を焼き尽くす中でも、職人たちは地下の蔵に骨と紙を守り続けたという。戦後、日本が再び平和を取り戻すと、扇子は再び「日本の心」の象徴として注目される。三代目・宮脇清治は京都の伝統を守りながらも海外の文化交流にも目を向け、パリやロンドンの展示会に出展。扇が“アート”として紹介され、外国人バイヤーが殺到した。職人たちは驚きながらも誇りを感じたという。平成以降、四代目・宮脇俊一の代になると、日常の中で使える「小ぶりの扇子」や「香り扇」など、現代的な発想を取り入れる。機能性よりも心地よさを重視し、一本の扇を開くことで“季節が変わる”感覚を届けることを目指した。伝統の技術に革新の感性を織り込む――その姿勢こそ、百八十年を超えて風を売り続ける理由である。
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手の中に、季節を持つ。
扇子とは、季節を掌に閉じ込める道具である。春の桜、夏の涼、秋の紅葉、冬の静寂――そのすべてが、一振りの風の中に凝縮されている。宮脇賣扇庵の職人たちは、竹と紙の「鳴り」を聴きながら一本一本を調律する。開くときの“パサリ”という音は、実は偶然ではない。骨の角度や紙の張りを微妙に変えて、最も心地よい音を設計しているのだ。それは音で感じる日本の四季ともいえる。「風を感じることは、心を整えること」――これが宮脇賣扇庵の哲学であり、単なる工芸を超えた“文化の呼吸”である。
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静かな贅沢。
宮脇賣扇庵の扇子に共通するのは、「静けさを纏った美しさ」である。金箔を使った豪奢な扇でさえ、どこかに抑制の美が宿る。それは京都人が大切にしてきた“見せない美”の継承であり、ひとの所作までも美しくする力がある。職人は竹を削る角度に0.1ミリ単位の違いをつけ、指先の感覚で柔らかさを決める。使い込むほどに紙が馴染み、竹が艶を帯び、所有者の手の温度を記憶する。「自分だけの風になる」――それが宮脇の扇の到達点だ。
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贈る、という文化を継ぐ。
いま、宮脇賣扇庵の扇子は、単なる伝統品ではなく、“贈り物の言葉”として選ばれている。誕生日や門出、還暦、海外へのギフト。開けば心を伝え、閉じれば形に残る。そんな扇は、SNS時代のデジタルギフトが置き去りにした「余白」を思い出させてくれる。若い世代の中には、推し活グッズとして季節扇をコレクションする人もいるという。風を贈るという行為そのものが、いま再び“新しい”と感じられているのだ。
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風は、記憶を運ぶ。
宮脇賣扇庵の扇は、使うたびに思い出を刻む。初夏の川床で広げた一振り、茶席でそっと開いた音、贈られた日の笑顔。風は消えるが、感情は残る。百八十年という時間の中で、扇子はただの道具から“人の心を包むもの”へと進化してきた。一本の扇が紡ぐのは、過ぎゆく季節と人の記憶――それこそが、宮脇賣扇庵が今も風を売り続ける理由である。
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