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古梅園「墨・墨液」〜千年の黒に、心を映す。
奈良・元興寺のほど近く、墨の香がただよう町家がある。そこが「古梅園」。創業は室町時代。墨を練る音、松煙の香、乾くまでの静寂。そのすべてが芸術であり、祈りのような時間である。筆をとる人に寄り添い、四百年以上もの間「日本の黒」を守り続けてきた。
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墨をつくるという、祈り。
古梅園の墨は、ただ黒いだけではない。光を吸い込み、時間を留めるような深さをもつ。松の煙を集めた煤(すす)を膠(にかわ)で練り、型に押し、乾かし、磨き上げる――一年をかけてようやく一本の墨が生まれる。手作業ゆえ、ひとつとして同じ色はない。墨をするたびに微妙に変化する香りと濃淡は、使う人の心をそのまま映す鏡のようだ。書道家だけでなく、画家や香道家、宗教家にも愛されてきたのは、その「黒の表情」に理由がある。
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僧の祈りから、天皇の御用へ。
古梅園の起源は、応永年間(15世紀初頭)、奈良の興福寺の僧・古梅和尚が、仏に捧げる写経用の墨を自ら調合したことに始まると伝えられている。当時の墨は中国・唐からの舶来品が主流であり、国産の墨は粗悪なものが多かった。古梅和尚は「仏の教えを記す墨は、心を清めてつくるべき」と考え、修行の一環として自ら製墨を始めた。その志を継いだ弟子たちが、やがて興福寺近くに工房を開いたのが、古梅園の始まりである。戦国時代を経て、奈良は再び文化の都として栄える。江戸初期、徳川家康は京都・奈良の学問と文化を保護し、朝廷への献上品として奈良墨を選んだ。古梅園の墨は「黒の冴え」と「香りの清らかさ」で群を抜き、やがて「御用墨」として幕府や宮中に納められるようになる。寛永年間には「日本第一の墨」として名を馳せ、書家たちは競って古梅園の墨を求めた。松煙墨の上品な青みは、筆跡に奥行きを与え、和紙との相性も抜群だった。江戸後期になると、古梅園は製法をさらに改良。煤の採取には松材の種類と温度を細かく調整し、膠は動物の皮から時間をかけて煮出す。配合比率は門外不出で、職人が代々口伝で受け継いだ。明治以降、文明開化とともに西洋絵具が流入し、一時は需要が減少した。しかし、宮内省や皇室の筆耕用墨としての地位を保ち続け、雅号入りの特注墨も制作した。昭和期には「古梅園の墨をすれば心が静まる」と言われ、皇室の儀式や書道展でも用いられるようになる。戦後は量産の時代に入りながらも、古梅園は手練り・天日乾燥の伝統を守り抜いた。墨を「商品」ではなく「文化」として扱う姿勢は、いまも変わらない。現在、奈良町の本店は「墨づくり体験」ができる工房としても知られ、海外の芸術家や研究者も訪れる。墨の香りに包まれた空間で、職人の手が一粒の煤を練る光景――それは、時代を超えて続く“祈りの手仕事”である。
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黒とは、色の終着点。
古梅園の職人たちは言う。「黒は無色ではない。すべての色が溶け合って生まれる色だ」と。墨は、色の原点であり、到達点でもある。だからこそ、わずかな光の当たり方で表情が変わる。濃墨では深淵のような黒、淡墨では青紫の気配。黒の中に“静かな色”が宿る。これが古梅園が追い求める美の哲学だ。
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香り、光沢、手ざわり。
古梅園の墨は、磨くほどに艶を帯びる。表面の光沢は鏡のようでありながら、決して人工的ではない。膠の柔らかい香りと松煙の深い香りが溶け合い、すりながら心を落ち着かせる。手に取るとわずかに温かく、すり石に触れる感覚がしっとりと馴染む。この「香り・艶・手ざわり」の三位一体が、古梅園を他と隔てる美意識である。
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デジタル時代に生きる“手の黒”。
いま、手書きの文化は急速に減りつつある。しかし古梅園は、むしろその流れの中で存在感を増している。デジタルでは再現できない“手の呼吸”を、墨の世界が再評価されているからだ。美術大学や書家だけでなく、デザイナーや建築家までもが古梅園の墨液を使い、質感と偶然性をデザインに取り入れている。黒の濃淡は、アナログだからこそ表現できる“揺らぎ”の美。古梅園はこの時代に、あらためて「人の手が生み出す不完全の美」を伝えている。
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墨は、時を描く。
すった瞬間に立つ香り。筆が紙に触れ、静寂の中に線が走る。その一瞬に、過去と現在が重なり合う。古梅園の墨は、単なる道具ではなく“時間を描く媒体”である。400年の手業が宿る黒を通して、書き手の心がいまに伝わる。皇室に捧げられ、僧に使われ、書家に愛され続けてきた墨。それは「日本人の祈りの色」そのものである。
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